岩手県釜石市箱崎町。この地方一帯に伝わる伝統芸能に「虎舞」があります。
今年、海岸沿いの箱崎町を津波が襲い、箱崎虎舞の踊り手も家族も家も仕事もさらっていきました。
虎舞の虎頭も太鼓も泥に埋まり、「今年は喪に服す」ということで今年の箱崎虎舞は開催できなかった。
それを、今こそ東京で復活させたいと無茶なお願いをし、実現させたのが、蕨の友人の彫蓮さん。
氏が東北の神社仏閣を巡り、奉納した絵を染太郎の方々が巨大幕にし会場を飾ったということもあって、出かけてみました。
第1部は、東北をまわった彫蓮さんの報告と自身撮影したビデオの上映。
福島第一原発から14kmの警戒区域内では、ビデオにノイズが入り、画面もざらざらに。
聞くところによると、その後、突然鼻血が出てきて、なかなか止まらなかったとのこと。この熾烈な環境下で暮らす人々や原発内で作業されている人のことを思うと胸が張り裂けそうに。
第2部は、いよいよ虎舞の登場。舞台壁面に貼ってあった巨大なスクリーンに即興で虎の絵が描かれていく。やがて、凛とした虎の目に瞳が描かれると。
それを破って、虎が飛び出してくる──
まず驚いたのは、虎の頭の低さ。踊り手は足を踏ん張り、腰を低くし、歩きまわり、時に跳躍する。まさに動物の虎そのもの。周囲を威圧する。
三陸各地に伝わるという虎舞。その全てを見たわけではないが、映像で見る限り、他地区に伝わるそれとは踊り手の腰高さが30センチは違うのではないか。
まさに地を這い、空を駆ける。箱崎町の虎舞を作り上げた荒屋氏の想いとこだわりを見た気がした。
この気迫のこもった舞いを舞うためには、強靭な体力が必要。舞い手、囃子手の鍛錬、まさに鍛錬というにふさわしいそれを見せていただいた。